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漢方による「血太り」タイプの肥満の特徴~「血太り」改善効果が期待できる漢方薬

血太りの特徴となりやすい人の傾向とは?

「血太り」って、血液が太るの?と取れそうな表現ですが、本当の意味は「血液の流れが悪くて太る」ことをいいます。

しかし、これもまた不思議な表現と思うかもしれません。
「水太り」なら、流れが悪くて体内に留まっているからその分体重が増えてむくむ、というのはわかるけれど…という疑問が出ますよね。

そこで、今回は漢方や中国医学で考える「血太り」について詳しく解説します。

漢方医学による肥満になる原因と考え方

漢方医学では、身体には3つの要素があると考えています。

・気…いわゆるエネルギーのようなもの。目には見えませんが、人間を生かす最も基本的かつ大切なものです。身体の各機能を正常に作動させ、血液や水分の流れを整え、新陳代謝を促します。
・血…血液のこと。全身に栄養を運んだり(動脈)、老廃物を回収したりする(静脈)働きがあります。
・水…血液以外の体液のこと。リンパ液や胃液、涙、鼻水なども含まれます。身体をうるおし、体温調節や関節の動きを維持するために必要なものです。

肥満の場合、気・血・水それぞれの機能の異常によって、太る原因や太り方が違ってきます。

「気」の場合

「気」は肉体だけでなく精神のエネルギーでもあり、文字通り、「気」持ちに強い影響を与えたり受けたりします。
ストレスでイライラすると気の巡りが悪くなり、自律神経が乱れてドカ食いに走ってしまいます。

逆に、何らかの原因で気が乱れると、ちょっとしたことでもストレスになり、これも過食の原因になり、太ってしまうのです。

「血」の場合

血液の流れが悪くなると、全身に栄養が充分に届かなくなります。
その結果代謝機能が低下して脂肪がエネルギーとして使われなくなり、全身に脂肪が蓄積されてしまいます。
いわゆる「脂肪太り」がこれに当たります。

「水」の場合

女性に多い「水太り」の原因となるもので、水分代謝が悪くなることで太ります。
するとむくみや冷えによって、さらに水が溜まりやすくなってしまいます。

この3つはそれぞれ独立したものではなく、お互いが影響を与え合っています。
そのため、このうちの1つに問題が起こると、他の2つの働きもおかしくなります。

たとえば、冷えがひどくなると水太りが悪化するだけでなく、「気」の流れが悪くなってストレスが溜まりやすくなり、「血」の流れが悪くなって血行不良といった症状も起こり、複合的な原因による肥満になってしまうのです。

血液の流れが悪くなるってどういうこと?

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血液の流れは、血管で見ると3種類あり、それぞれ違う働きをしています。
一つは「動脈」で、全身に栄養を送る働きがあります。
もう一つは「静脈」で、各部位にある老廃物や有害物質を受け取り、最終的に体外に排出させる働きがあるのです。

この中間にあるのが「毛細血管」で、動脈から得た栄養素を実際に各部位に届け、それと同時にその部位から不要物を受け取り、静脈に送る役割を持っています。

動脈、静脈、毛細血管のどの部分の血液も、身体の健康を維持するためになくてはならないものです。

消化吸収された栄養素を全身に送る動脈の血液の流れが悪くなれば、全身が栄養不足に陥ります。
また、体内に溜まっていく老廃物や有害物質を排出し、健康を保つためには静脈もしっかり流れていなくてはいけません。

そして、この2つの働きの受け渡しをする毛細血管の働きが悪ければ、たとえ動脈と静脈が正常でも、健康は損なわれてしまうのです。

血太りの特徴と、血太りになりやすい人の傾向

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漢方でいう「血太り」には、以下のような特徴があります。

・どちらかというと固太りで、コロコロ体型
・特に下腹がぽっこり出ている
・食べるのが好き(特に肉類)
・スイーツが欠かせない
・お酒を飲む機会が多い
・体脂肪が多い
・肩こりや頭痛、生理痛に悩まされている
・冷え性気味

これはすべて体内に老廃物が滞留しているために起こるものですが、このすべての症状が出るとは限りません。
血液の量が不足していたり、血液がドロドロになっていたり、筋肉不足で血液をプッシュする機能が低下しているなど、様々な原因で血太りは起こるのです。

その中でも現代人に多いのが、血液ドロドロによる血太りです。
食生活が中途半端に欧米化したため、野菜不足が深刻になっています。

サラダなど見た目にはたっぷりでも、実際には1皿ではほんの少しのビタミンや食物繊維しか摂取できません。
すると便秘がちになり、便の中にある老廃物が再度体内を巡ってしまいます。

また、欧米化した食事は脂分や糖分ばかり多くなるため、血液に中性脂肪やコレステロールが入り込み、ドロドロになってしまうのです。

しかも、血太りの人には食欲がある人が多く、肉類や糖類、脂類をどんどん溜め込んでしまうため、特にウエスト回りから腰回りがぽっこりしてしまいます。
女性の生殖器は元々血液を集めやすい構造になっていて、その部分に脂肪なども溜まりやすいのです。

また、近年は冷え性から来る「血太り」も多くなっています。
偏食やダイエットなどで栄養が偏ると血液が栄養不足になり、代謝機能が落ちて充分なエネルギーを作れなくなってしまいます。

血液には熱を全身に運ぶという作用がありますが、エネルギー不足で熱が作られず、血流も悪くなります。
すると身体が冷えてしまい、さらに血流が悪くなるという悪循環に陥ってしまうのです。

さらに、身体が冷えると水分が滞留しやすくなるため、「水太り」傾向も出てきてしまいます。

血太りの改善に効果が期待できる漢方の種類

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このように、一言で「血太り」といっても様々な原因があります。
そのため、これが効く、という明確な処方はありません。
ここでは代表的な血流改善・血行促進作用のある漢方薬をご紹介します。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

ドロドロの血液を流れやすくするのが、桂枝茯苓丸です。
桂枝(けいし)はクスノキ科の樹木の枝を乾燥させたもので、桂皮(けいひ、シナモンのこと)とも呼ばれています。
停滞している血を動かす働きがあり、生理不順や生理痛が重い人、冷え性の人によく使われる生薬です。

茯苓(ぶくりょう)はキノコの一種で、上半身はのぼせ気味、下半身は冷えるという血太りの傾向を抑える働きがあります。
また、更年期障害や女性ホルモンのバランスの乱れを安定させます。

その他牡丹皮(ぼたんぴ)、芍薬(しゃくやく)、桃仁(とうにん)が含まれており、血液の熱を冷ましたり、血管の働きを良くしたり、血液をサラサラにしてくれます。

桂枝茯苓丸にはこのように血の巡りを良くする生薬がたっぷり含まれているので、特に生理が正常でない人の肥満に効果があるといわれています。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

桂枝茯苓丸と同じ桃仁と桂枝という成分が含まれているので同じような作用がありますが、特に便秘がちな人、イライラや情緒不安定になりがちな人、肩こりや腰痛、頭痛が多い人向けの処方になっています。
いわゆる「血の気の多い」タイプ用といえるでしょう。

桃仁(とうにん)は桃の種子内の核から採れる成分で、血液がドロドロになって停滞するのを治す働きがあります。
大黄(だいおう)はタデ科の植物の根などから作られ、緩下作用があります。
その他、解毒作用のある甘草、便秘を解消する芒硝(ぼうしょう)などが含まれています。

このように、血の巡りを良くする生薬のほか便通を良くする成分が2種類も入っているため、便秘でない人が摂ると激しい下痢を起こす危険性があり、注意が必要です。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

特に体力がなく、冷え性や貧血持ちの人に向くのが、当帰芍薬散です。
当帰芍薬散には血液の量が少ない、あるいは薄い人に栄養を与え、血行を良くするとともに身体を温める働きがあります。

当帰(とうき)は血液の循環を活性化させる働きがあり、多くの婦人病治療薬に配合されている生薬です。
芍薬(しゃくやく)は硬くなった筋肉を柔らかくし、血管が伸縮しやすくなります。
川芎(せんきゅう)は強壮作用や血行を促進させる作用を持っています。

その他茯苓、水分代謝を調整する白朮(びゃくじゅつ)や沢瀉(たくしゃ)も含まれていて、水分代謝を良くすることで身体の冷えを改善し、血液の循環を良くするサポートをしてくれるのです。

自分に合った漢方薬の選び方と使用上の注意点

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上の3つを読んでいただいてもおわかりになると思いますが、結構微妙なところがありますよね。
冷え性といっても、全身か下半身かによって違います。

また、便秘の原因には熱がこもっている場合もあれば、筋肉の力が弱くて便を押し出せない場合、全身が冷えていて大腸の働きが弱くなっている場合、喉が渇かないので水分の摂取量が足りず便が硬くなっている場合など、様々な原因が考えられます。

そのため、自己判断は時に非常に危険なのです。

できれば、漢方専門の治療を行なう治療院で診てもらうのが一番です。
ネットで検索すれば、全国の漢方治療院を見つけることができます。
中には西洋医の内科や外科で漢方内科を併設している病院もあり、中国人医師が日本人の体質に合わせた処方をしてくれることもあります。

なお、漢方内科では「肥満」では保険適用になりませんが、血液の巡りに問題があり、肥満以外の何らかの症状、たとえば生理痛がひどいなどの症状があれば、保険適用でツムラやクラシエの処方薬を出してくれます。

また、電話相談を行なっているところもありますので、一度問い合わせてみるのもお勧めです。

生活習慣や食生活の改善も同時に行いましょう

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「血太り」になるには、原因があります。
生まれた時から血液ドロドロだったり冷え性だったりということは、何らかの病気以外ではあり得ません。
ほとんどの場合、これまでの生活習慣や食生活に問題があるのです。

そこで、以下のことに少し気を使ってみてください。

<食生活>

・冷たいものや身体を冷やすものは極力避ける

身体を冷やすものとは、特にキュウリやウリなど水分の多いものや、果物などです。
野菜補給にと生野菜を多く摂っている人は、ニンジンやゴボウ、玉ねぎなど身体を温める作用のある根野菜を中心に、できるだけ温めて食べましょう。

・山椒、生姜、唐辛子、ニンニク、玉ねぎ、ねぎなどを香辛料として少量使う

薬味として、これらの身体を温めるスパイスを使いましょう。
ただし、生姜や唐辛子、ニンニクには「熱を発生させて発汗し、体温を下げる」作用があるため、大量に摂取すると逆効果です。
あくまで「味を整える」程度に抑えましょう。

・ネバネバ食材などで血液をサラサラにする

オクラや昆布、山芋などのネバネバ食材には、血液をサラサラにする作用があります。

また、生の玉ねぎにも同様の効果があります。
サラダに入れる時には、玉ねぎをカットした後洗わずに、15分ほど放置すると良いといわれています。

・冷え性の人は緑茶を避ける

緑茶や麦茶は、たとえ熱くして飲んでも身体を冷やす作用があるといわれています。
ウーロン茶や紅茶のように発酵、半発酵されたものはその作用がなくなっていますので、冷え性の人はこれらを選ぶようにしましょう。

なお、紅花茶は血行促進作用が非常に優れているので、手に入れられる人はぜひ試してくださいね。

・バランスの良い食事をする

人間の身体は炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルを摂ることで健康が保てるようになっていますから、栄養バランスを考えて充分摂るようにしましょう。

なお、タンパク質の摂り方に注意しましょう。
同じタンパク質でも肉や魚には熱を生む作用が、大豆製品には身体を冷やす作用があります。
いわゆる「血の気の多いタイプ」さんは植物性を、貧血気味で冷え性の人は肉や魚を中心に摂ると良いですね。

<生活習慣>

・下半身をできるだけ動かす

女性の多くは、下半身が冷えて水分が滞留しています。
できるだけ歩く、下半身中心のストレッチをするなど、こまめに脚を使うよう心がけましょう。

・身体を冷やさない

極端な薄着は避け、極力身体を冷やさないよう工夫しましょう。
特に下半身は冷えやすいので、ソックスやひざ掛け、腹巻などをうまく利用しましょう。

なお、身体にぴったりした下着やガードル、パンティストッキングなどは血管を圧迫し血流を悪くしてしまいます。
仕事でどうしても着用しなくてはいけないという場合は、帰宅したらすぐに脱ぐようにしましょう。

・できるだけ湯船につかるようにする

身体を温めるには、入浴が一番手っ取り早いです。
湯船につかっていると血管が拡張し、全身に血が巡って身体が芯から温まります。

また、できるようであれば、湯船に一掴みの塩を入れて入浴してください。
身体のポカポカ度がアップし、湯冷めしにくくなります。

・夜はリラックスし、早めに就寝する

血行の良し悪しは、実は自律神経とも関係があります。
血液を送り出すのは心臓ですが、その量をコントロールしているのが自律神経なのです。

自律神経には交感神経と副交感神経のバランスで成り立っており、夕方6時頃に切り替わるようになっています。

しかし、ストレスや脳の興奮などによっていつまでも交感神経が活性化したままだと、副交感神経が働く時間が短くなってしまいます。
副交感神経には血管を広げる働きがあるため、その時間が短ければ短いほど血行は悪くなってしまうのです。

これを避けるため、夜は脳を刺激しないよう、パソコンやスマホの使用は控えめにしましょう。
ゆっくり湯船に浸かるなどして血管が拡張されれば副交感神経が活性化し、自然に眠気が訪れ、眠りの深い質の良い睡眠を取ることができます。

また、熟睡中に分泌される成長ホルモンには血管の修復作用もあるので、さらに血液の流れが良くなりますよ。

いかがでしょうか。
漢方薬には様々な効果が期待できますが、自分で選ぶのは難しいものです。
購入の際には専門家や薬剤師に相談し、それと併せて食事や日常生活で改善できることを少しずつでもやっていきましょう。

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