1. 防風通聖散について
  2. ポッコリお腹やメタボ対策に漢方薬の『防風通聖散』はアリ?それともナシ?

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ポッコリお腹やメタボ対策に漢方薬の『防風通聖散』はアリ?それともナシ?

防風通聖散から得られる効果と自分に合う漢方薬の見つけ方とは?

「お腹ポッコリで、メタボの赤信号が出ている!」と悩んでいる方が最近、「漢方薬でメタボ対策になるの?」と興味をもっているのが漢方薬の「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」です。
しかし、「防風通聖散」は誰もがメタボ対策のために飲んでよい漢方薬とは言えません。
では、どんな人が合うのか、飲まないほうがいい人はどんな人なのか、をまとめました。

「防風通聖散」は、抗メタボ薬としても使用されている漢方薬

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お腹周りにたっぷり脂肪がついて、スカートやパンツのウエストがきつくなったと悩んでいる方にとって、気になる漢方薬が「防風通聖散」。

お腹周りのお肉が気になっているのに、食欲を抑えられない…。便秘もあって、イライラするなど、気分もすっきりしない…。こんな症状を気にしている方は少なくありません。

いわゆる肥満やメタボには、男性に多い「内臓脂肪型」と女性に多い「皮下脂肪型」があります。
おもに「内臓脂肪型」は、ウエストや胃の周辺が太ります。
「皮下脂肪型」は、下腹部やお尻、太ももなど、下半身が太るのが特徴です。

漢方では、肥満やメタボを筋肉質でがっちりした「固太りタイプ」と、皮下脂肪が多い「水太りタイプ」にわけて考えています。

漢方では、「固太りタイプ」の肥満やメタボには、抗メタボ薬として防風通聖散が使われています。

防風通聖散が効くタイプかどうかは医師の診断を受けるのがベスト

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漢方薬には多くの種類があり、主要な148処方には健康保険が適用されています。
「医療用漢方製剤」といわれ、厚生労働省から認可をうけた医療用医薬品です。

医師に診断してもらい処方してもらえば、自分の肥満やメタボ改善にどの漢方薬が合うかがわかります。
また、病院で漢方薬を医師に処方してもらえば(医師からの処方箋があれば)、原則1~3割の負担で済みます。

ただし、病院によっては健康保険を使わない自由診療(自費)で漢方薬を処方している施設もあります。
漢方薬局などで医師の処方箋なしで購入する場合も同じです。
健康保険がきかないので、全額、患者負担です。

「漢方薬は高い」というイメージがありますが、健康保険を使える医師処方の漢方薬なら、決してそうではありません。
場合によっては、同じ病気でも西洋薬より薬代がリーズナブルになることも少なくありません。

防風通聖散から得られる効果は個人差が大きい

「防風通聖散」は、体力があって、便秘がちな人によく使われています。
「防風通聖散」の効果は、皮下脂肪だけでなく、内臓脂肪も燃やすことです。

そのため、生活習慣病の発病を防ぐ可能性もあり、基礎代謝量をアップして、消費エネルギー量を増やし、やせることを助ける作用があります。

一方で、「防風通聖散」では効果が得にくい人もいます。
色白で汗かき、疲れやすい水太りタイプの人には、防風通聖散はあまり使いません。
皮下脂肪の多い水太りタイプの人に使われるのは、「防已黄耆湯」などの漢方薬です。

効果は人それぞれ、自分がどのタイプかを見極めて漢方薬を選ぶ必要があるのです。

自分に合う漢方薬の見つけ方

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「防風通聖散」だけでなく、多くの漢方薬は、その人の体質や症状に合ったものでないと、効果を十分に発揮することができません。

自分の体質を見極めるためには、漢方特有の”ものさし”が必要です。
漢方に詳しい医師は、”ものさし”をもとに、その人に合った漢方薬を選ぶのです。

漢方で診るものさしには、「証」があります。
証は、体力、病気に対する抵抗力のものさし。
「証」は、その人の状態(体質・体力・抵抗力・症状の現れ方などの個人差)を表すもので、その人が訴える症状や体格などから判断します。

漢方では、証に合った漢方薬が処方されるのです。
ですから、同じ肥満やメタボといった症状でも、自分の証と他人の証が違えば、当然、処方される漢方薬も異なります。

肥満やメタボに悩む他の人が飲んでいて効いた漢方薬でも、自分が飲んで効くとは限らない可能性があるのは、こうした理由からです。

証のわけ方には、「虚(きょ)」と「実(じつ)」があります。
「実証(じっしょう)」とは、体力や抵抗力が充実している人のこと。
「虚証(きょしょう)」とは、体力がなく、弱々しい感じの人のことを言います。

こうした証は、漢方薬の処方にあたりとても重要な指標となってきます。
たとえば、風邪には「葛根湯(かっこんとう)」が有名ですが、この葛根湯は比較的体力があり、胃腸の丈夫な人に使うものです。
実証の人向きというわけです。

しかし、胃腸が弱く、すぐにお腹をこわすような虚証の人には向きません。
つまり、葛根湯でおなかをこわす人は、虚証という可能性が高いのです。

そして、「防風通聖散」も、実証タイプの人に向く漢方薬です。
虚証の人が服用すると、お腹をこわすほかの副作用が起こる可能性があります。

漢方薬と西洋薬の“治し方”に対する考え方の違い

「防風通聖散」という漢方薬をひとつとっても、漢方薬を扱う東洋医学は、西洋医学と違うと感じられる方も多いと思います。

西洋薬は、多くがひとつの有効成分で作られていて、血圧を下げたり、細菌を殺したり、熱や痛みを取ったりするなど、ひとつの症状や病気に対して、強い効果があります。

また、西洋薬のベースとなる西洋医学では、患者の訴えだけでなく、検査を重視して、検査結果から病気の可能性を探ったり、治療法を考えていきます。
検査結果や数値などにしっかり表れるような病気を得意としている医学です。

一方、漢方薬は1剤に複数の有効成分が含まれているため、多様な症状に効くのが大きな特徴です。
また、漢方薬のベースとなる東洋医学は、患者の訴えや体質を重視し、そこから処方をしていきます。
そのため、体質に由来する症状(背後に病気が隠されていない生理痛や冷え症、虚弱体質など)や、検査に表れない不調(更年期障害やPMSの症状)などの治療が得意です。

顕著に表れているひとつの症状だけでなく、漢方薬1剤で複数の病気や不調が改善されることがあるのも、漢方薬の大きな特長です。
たとえば、葛根湯は、おもに風邪の初期に使われますが、頭痛や肩こりなど、複数の症状が改善されることがあります。

防風通聖散の効果が期待できるのはこんな人

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薬局薬店、ドラッグストアなどで売られている市販の「防風通聖散」は、“お通じが悪い、脂肪太りの方に”として販売されています。

効果・効能としては

1、便秘がちな人
2、肥満症

としているものがほとんどです。

これらの症状があって、体力が充実していて(実証)、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな人の次の諸症状に使われます。
高血圧にともなう動悸・肩こり・のぼせ、肥満症、むくみ、便秘、副鼻腔炎(蓄膿症)、湿疹・皮膚炎、吹き出物(にきび)です。

「防風通聖散」に含まれている大黄(だいおう)、麻黄(まおう)、山梔子(さんしし)などの生薬には、代謝を低下させて、太りやすくさせる細胞を小さくする働きがあります。

また、エネルギー消費にかかわる遺伝子発現を促進することで、脂肪を燃焼しやすくしてくれます。
さらに、脂肪燃焼に加えて、体内の水分循環をよくして、余分な水分や老廃物を便や尿として排出する働きももっています。

ということで、「防風通聖散」の効果が期待できるのは、固太り型の肥満の人です。
体力が充実していて(実証)、便秘で、おへそを中心に固くて膨れた、いわゆる太鼓腹の人。
つまり、筋肉質でがっちりした内臓脂肪タイプの人のためのお薬です。

こんな人は、防風通聖散は使わない方が無難かも

前述しましたが、肥満のタイプには、もうひとつ皮下脂肪型の水太りタイプが考えられます。
こちらは、女性に比較的多いタイプで、色白で汗かきで、疲れやすい人です。
このタイプの肥満の方は、「防風通聖散」の効果はあまり期待できないと言われています。

水太り型の肥満には、「防風通聖散」ではなく、「防已黄耆湯」などの漢方薬のほうが合うと言われています。
体力が中等度以下で、疲れやすく、汗をかきやすい傾向の人は、「防己黄耆湯」が合う可能性があります。

「防己黄耆湯」は、肥満症(筋肉にしまりのない、いわゆる水太りタイプ)だけでなく、肥満にともなうひざなどの関節の腫れや痛み、むくみ、多汗症にも有効です。

体質と生活習慣の両方の改善が必要です

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中年以降の肥満症や太りすぎは、ひざ関節を傷める原因にもなります。
また、内臓脂肪が必要以上に多くなると、糖尿病、脂質異常症、高血圧、心臓病、痛風、肝臓病などの生活習慣病を引き起こす傾向が高まります。

体力があって、便秘がちな人によく使われる「防風通聖散」は、皮下脂肪だけでなく、内臓脂肪を燃やし、生活習慣病を防ぐとともに、基礎代謝をアップし消費エネルギー量を増やして、やせることを助ける働きがあります。

しかし、漢方薬はあくまで生活習慣の改善をサポートするものです。
漢方薬だけに頼って生活習慣を改善しないのでは、肥満症は根本的な体質改善につながりません。
脂肪を減らすには、バランスのとれた食事と適度な運動、規則正しい生活が大切です。

過食は厳禁です。
間食はやめて、1日3食きちんと食べる、夜遅く食事を摂らない、早食いをしないなど、食事回数や食事時間にも気をつけます。

腹八分目を守り、バランスのとれた食事をしましょう。
また、揚げ物など油をたくさん使う料理、濃い味付けの料理はできるだけ控えることも大切です。

さらに、ウォーキング、水泳など無理なくできる運動を継続するように心がけましょう。
有酸素運動が効果的です。

 

 

増田美加
ライタープロフィール
増田美加(mika masuda)
女性医療ジャーナリスト

女性の健康情報&患者視点に立った医療情報について執筆、講演を行うほか、テレビ、ラジオにも出演。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。
公式ホームページ http://office-mikamasuda.com/

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